先生の挨拶

金子ゼミは「労働法」のゼミです。労働法の重要性は近年わが国で再認識されてきています。人は誰でも働く(労働する)ことが必要です。働くことによって収入を得ることができ、自分や家族の生活が維持できるばかりでなく、人間社会の発展に寄与することにつながるからです。

そうであるにもかかわらず、この数年間は、景気の悪化が進行するなかで、非正規労働者が増加し、さらには、正規労働者を含めて労働条件・労働環境が低下してきている状況にあります。賃金の引き下げ、年金の削減、残業の長時間化、残業手当もつかないサービス残業の横行、年休を取ることもできないほどの人員削減、学生であれば誰しも不安に思う採用内定の取消し、極めつけは安易なリストラ等々、働く者の置かれた状況は厳しいものがあります。

こうした状況に対応する法制度としては働く者(労働者)を守る適正な労働法制があります。しかし、この数年、労働法制は市場競争原理主義の進展に基づく国家政策の下で法改正が進められ、労働者の生存を揺るがすような上記諸問題を現出してきました。ところが、2009年夏の自民党から民主党への政権交代は、こうした一連の労働法制の動向に待ったをかける形となり、今後、抜本的に労働法制の見直しに動き始めることが予想されます。まさに、労働法は新しい改変の時代を迎えたともいえます。そもそも法律は、その時代の政権の政策実現の形を意味するものである以上、政権交代により法制度の見直しが図られることは必然でもあります。私たち金子ゼミは、こうした事情を抱えつつも現行労働法の法解釈を判例研究を通して学ぶことを目的としています。さらに、労働法の機能をつかみとり、立法論として労働法はどうあるべきかについてまで議論が進めば、より高次元の労働法を学ぶことができるでしょう。

1976年に開講した金子ゼミは、これまで400人を超える卒業生を国内外のさまざまな分野に輩出し、法学部のゼミのなかで着実に歴史と伝統を重ねてきました。毎年12月に開かれている卒業生と現役学生の交流会(ゼミOB・OG会)での出会いは、連帯感を強めるだけでなく、さまざまな情報交換の場でもあります。

法学部教授 金子征史(かねこ まさふみ)

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